九州大学理学部地球惑星科学科 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 太陽地球系物理学研究分野

太陽地球系物理学の教科書

太陽地球系物理学を学びたい人のために,教科書的な本を挙げておきます.当然ですが完全なリストではありません.

邦書

 文献1,2は最新の研究成果を紹介するシリーズで,いずれも当研究室と関りが深いものです.文献3は九州大学と熊本大学の教員が中心となって作った地球惑星科学の大学初年用教科書で,基礎編第4章(太陽地球系物理学関連)を渡辺が執筆しています.文献1-10を対象読者のレベル順に一般向けから専門家向けに並べると,3,5 < 7,9,10 < 4,8 < 1,2,6,となります.

1. 極地研電子ライブラリー・オーロラ物理学シリーズ,第4巻:磁気圏ダイナモと磁気圏磁場トポロジー,渡辺正和[著],国立極地研究所,2021.DOI: 10.15094/00016231,冊子体はありません.

2. 極地研電子ライブラリー・オーロラ物理学シリーズ,第1巻:複合系磁気圏物理学,田中高史[著],国立極地研究所,2020.DOI(2版): 10.15094/00016232,冊子体はありません.

3. 新しい地球惑星科学,西山忠男[編著],吉田茂生[編著],基礎編第4章:地球を取り巻く磁気圏・電離圏と超高層大気~ジオスペース,培風館,2019.編者によるサポートページに正誤表等があります.

4. 太陽地球圏,小野高幸[著],三好由純[著],共立出版,2012.

5. 太陽活動と地球,John A. Eddy[著],上出洋介[訳],宮原ひろ子[訳],丸善出版,2012.

6. 総説 宇宙天気,柴田一成[編著], 上出洋介[編著],京都大学学術出版会,2011.

7. 太陽地球系物理学~変動するジオスペース,國分征[著],名古屋大学出版会,2010.

8. オーロラの物理学入門,小口高[著],名古屋大学太陽地球環境研究所,2010.DOI: 10.18999/28598,冊子体は関係者のみに配布されました.

9. 太陽地球系科学,地球電磁気・地球惑星圏学会 学校教育ワーキング・グループ[編],京都大学学術出版会,2010.

10. 宇宙環境科学,恩藤忠典[編著],丸橋克英[編著],オーム社,2000.英訳,ポーランド語訳があります.

洋書

 英語の本は数限りなくあります.教科書的な本で思い付くものを挙げます.もちろんこれら以外にも沢山あります.

1. Characterizing Space Plasmas: A Data Driven Approach, George K. Parks (Author), Springer, 2018.

2. Space Physics: An Introduction, Christopher T. Russell (Author), Janet G. Luhmann (Author), Robert J. Strangeway (Author), Cambridge University Press, 2016.

3. Physics of the Upper Polar Atmosphere, Asgeir Brekke (Author), 2nd edition, Springer, 2013. 第1版は日本語訳があります.

4. Basic Space Plasma Physics, Wolfgang Baumjohann (Author), Rudolf A. Treumann (Author), 2nd edition, Imperial College Press, 2012.

5. Physics of Space Storms, Hannu Koskinen (Author), Springer, 2011.

6. Physics of the Earth's Space Environment, Gerd Prölss (Author), Michael Keith Bird (Translator), Springer, 2004. ドイツ語第1版は2001年に出版されました.

7. Space Physics, May-Britt Kallenrode (Author), 3rd edition, Springer, 2004. POD版は図が醜くて(デジタル化に失敗していて)薦められません.Typeset版を入手してください.

8. Physics of Space Plasmas, George K. Parks (Author), Westview Press, 2nd edition, 2004.

9. Physics of Solar System Plasmas, Thomas E. Cravens (Author), Cambridge University Press, 1997.

 洋書はタイトルに“physics”が入っているものが多いです.しかし自然はとても複雑で,太陽地球系の現象で理屈(physics)で綺麗に説明されるものは少数です.現象論を体系的に扱うのは難しいですが,例えば邦書8や洋書1は理屈と現象論をバランスよく扱っています.現象をどう認識するかは研究を進めるうえで極めて重要です.